【書評】『人生相談。』真梨幸子
前回の『お引っ越し』と同様、短編集です。
ただこれまたお引っ越しと同様、短編集に見せかけた長編です。
それぞれは短編なんだけど、共通の人物が出て来たり過去のエピソードに関連があったり。
物語は基本的に「新聞の人生相談→本編→人生相談への回答」という流れで進んでいきます(一部例外あり)。
期待を裏切らないドロドロ感は勿論健在です。
◎とりあえず感想
まず最初の感想としては、とにかく登場人物が多い!
この点は真梨さん御本人も「自分の短所」と仰ってますし(ただそれが個性だから直すつもりはないとも仰ってます)、読者のレビューにも「人物相関図が必要」「メモを取りながら読んだ」「何度も戻って読み返した」という感想が8割を占めています。
純粋な短編なら覚えやすいのでしょうが、短編の体を成した長編のため、新キャラの間を縫って前に出てきたキャラが登場してきます。
しかもその人物は名字が変わっていたりペンネームだったりニックネームが付いてたりするので、余程の記憶力の持ち主でないと「あれ、これ誰だっけ?」と思わずに読み切るのは不可能です。
この物語の主軸である人生相談の部分も、どちらかというと「何が」書いてあるかよりも「誰が」書いたかということがキーポイントになってきます。
なので、この本を読もうという方は出来れば一気に、それが無理でもなるべく間隔を空けずに読むことをお勧めします。
誰が誰だか忘れないように…。
そしてマジで相関図を書いた方がいいです笑
◎心理描写
真梨さんの小説で1番怖いのはその心理描写です。
同僚と仲良く話していた女性が、その後心の中で相手への闇を吐露する場面は結構ゾッとします。
世の中で最も怖いのは幽霊でもゴキブリでもなく、人間なんだなぁ〜…。
という気持ちになります。
◎オチ(ネタバレほぼなし)
真梨さんの小説にはだいたい最後に大オチみたいなのが来るんですが、この「人生相談。」も例に漏れません。
最後のページを読んだ僕の感想はこれです。
「え…。この人が、あの人…?」
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