【書評】『お引っ越し』真梨幸子
先日『ふたご』の時に「ハッピーエンドが嫌い」と書きましたが、そんな汚れた心を持つ僕にピッタリな「読み終えると嫌な気持ちになる、後味の悪い小説✨」というジャンルがあるのをご存知でしょうか。
それが通称「イヤミス」です。
「イヤな気分になるミステリー」という意味です。
いやホントに。
そのイヤミスの中でも、湊かなえさん、沼田まほかるさんと並び「イヤミスの女王」と呼ばれているのが、真梨幸子さんです。
「殺人鬼フジコの衝動」が1番有名ですかね?
僕は真梨幸子さんの小説を何冊か持っているのですが、いずれもハッピーエンドや爽快感、清々しさとは程遠い、ドロドロ、ジメジメとした暗〜い話ばかりです。
特に女の醜い争いを書かせたら右に出るものはいないんじゃないかと言うほど生々しい心理描写が多く、読めば読むほど暗い気持ちになれます笑
『ふたご』の書評はこちら↓↓
今回は「お引っ越し」というタイトルの通り、引っ越しにまつわる6つの短編と解説から成っています。
当然、ハッピーエンドは1つもありません笑
どの主人公もなかなか悲惨な末路を辿るのですが、個人的に印象に残ったのは「壁」という話です。
主人公の住むマンションの隣人は若い夫婦なのですが、どうやらDVがあるらしく、夜になると壁を通して激しい音が聞こえてくるそうです。
それでも奥さんは、警察が来ても夫を庇い続けているそうですが…
続きが気になる方は本を買うか、個人的に僕に聞いて下さい笑
また、文末に解説が付いている小説はよくありますが、この本の解説はちょっと違います。
こういう所のちょっとした仕掛けは「フジコ」でも見られ、これが結構面白いんですよね。
本編と別に2度楽しめるというか。
この小説に限らず、真梨さんの小説はどれも面白くてハズレがないような気がするので(ただし全部暗い)、「最近の小説はどれもこれもハッピーエンドばかりで、まったく反吐が出るぜ!けっっ!!」と思っている心の汚れた方に、真梨幸子さんをお勧めします。
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